『環境ナノ部材』産業を集積化 - 世界トップレベルの『環境ナノ』拠点形成へ

No.255 藻類バイオ燃料生産技術とその周辺

藻類を使ったバイオ燃料生産の実用化研究が加速しています。それに伴って周辺
の研究も活発化しています。
米シラキュース大学の研究者は、銀ナノ粒子を用いて、藻類の成長を30%も良く
することに成功しました。表面プラズモン共鳴の原理に基づいて、藻類の成長に
有効な青色の波長の光が選択的に後方散乱するよう銀ナノ粒子の大きさと形を設
計したのです(1)。
光の利用効率の向上は、単に藻類バイオ燃料生産目的にとどまらず、アメリカが
人工光合成共同センター(JCAP)を設立して強力に進め始めた人工光合成技術の
開発(2)にも展開できる重要な技術として注目されます。
さて、藻類がバイオ燃料生産の主役として一躍注目され始めたのは、世界最大の 石油・ガス企業のエクソンモービル社が本格的に取り組み始めたからです。同社 は、輸送用燃料の持続供給と温室効果ガス削減を目指して、ゲノム技術実用化ベ ンチャーのシンセティック・ジェノミクス社と組んで約600億円規模の「藻類バ イオ燃料研究開発プログラム」を約1年前に発足させました。藻類の有利性は同 社のホームページ(3)に詳細に示されています。中でも、この方法で生産される 燃料が石油製品に似た分子構造を持っているので石油輸送や利用のインフラがそ のまま使えること、穀類生産と競合しないこと、単位当たりの生産性が圧倒的に 高いことなどがバイオエタノールと比べての利点として挙げられます。 藻類バイオ燃料研究開発プログラムについては、最近、カリフォルニアに大きな 実験温室を完成させたことが報じられました(4)。次のマイルストーンとしては 2011年に屋外試験施設を計画しており、それに成功すればいよいよ本格的な研究 開発が行われることになっています。
わが国でもデンソーがバイオ燃料生産用の培養施設を最近報道陣に公表しました (5)。また、筑波大学が2トン規模の実証設備を近く完成させる予定で、同大学が 結成したコンソーシアムにはデンソーを含め、トヨタ自動車グループなど45社が 参加するとのことです。 バイオ燃料の新しい日米研究開発競争から目が離せません。光合成に基づく藻類 バイオ燃料生産は人工光合成との共通点もあり、周辺技術にも新しい事業機会が ありそうです。
1:Appl. Phys. Lett. 97:043703(2010) 2:http://akimada.blog129.fc2.com/ 3:http://www.exxonmobil.com/Japan-Japanese/PA/Files/091015_J_algaebrochure.pdf 4:http://www.businesswire.com/portal/site/home/permalink/?ndmViewId=news_view&newsId=20100714006898&newsLang=ja 5:http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201007/CK2010070702000175.html